腹膜透析とは
腹膜は小腸・肝臓・胃などの臓器を包み、支える役割を持っている膜状の組織層です。腹膜は 半透膜で、リンパ管や細い血管が網の目状に走っています。
腹膜透析は、手術によりおなかにカテーテルを留置し、カテーテルを介して腹腔内に透析液を注排液できるようにします。時間の経過とともに、「拡散」と「浸透圧」の原理により、腹膜を介して体の余分な水分や⽼廃物が血液中より透析液中へ移行します。透析液の注排液を繰り返す事によって、血液を浄化する治療法を腹膜透析と言います。
① 社会復帰を容易にし、生活行動範囲が広がる
② 血液中の成分濃度が安定しており、体液の恒常性が保たれる
③ 不均衡症候群が起こりにくい
④ 循環器系に与える影響が少ない
⑤ 食事、水分の制限が比較的穏やか
⑥ シャント不要で穿刺の苦痛がない
血液透析 (HD) |
腹膜透析 (PD) |
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透析スケジュール | 非連続的(3~4時間/回×週3) | 連続的(30~40分/回×1日4回) |
通院回数 | 3回/週 | 1~2回/月 |
透析場所 | 透析施設 | 家・学校・職場 等 |
治療を行う人 | 透析施設スタッフ | 患者自身 |
PDのメリット | 体内変動が少ない / 社会復帰しやすい | |
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PDのデメリット | 拘束時間が長い / 不潔な操作をすると腹膜炎の可能性 |
手動で決められた回数バッグ交換を行う方法。交換時間は生活パターンに合わせて相談して決めることができる。
日中のみ交換する方法(DAPD)もある。
夜間などに機械を用いて交換する方法。夜間にバッグ交換を行うことでQOLの向上・生活や仕事の充実ができる。
APDでの頻回交換やCAPDを組み合わせることで透析効率の向上が期待できる。
APDの利点
[プライバシーの保持]
日中のバッグ交換がない場合、他人からの心理的圧迫を避けることができる。
[ボディイメージの向上]
昼間の腹腔内貯留量を少なくしたり、貯留しないことにより体型が気にならなくなる。
[介助者の精神的負担の軽減・疲労の軽減]
小児、高齢者、身体障害者(知能障害者、肢体不自由者、視力障害等)で介助が必要な場合、介助者の負担を軽減できる。
[食欲増進]
昼間の液の貯留を減らせることにより、腹部膨満感が解消され、食欲不振が改善する。
[除水量増加と腹膜クリアランスの向上]
長時間貯留による除水量低下を防ぐ場合、昼間一時空にする。(腹膜の透過性が高い場合)
例)NPD・TPD
[合併症の予防]
昼間の貯留液量減少、または貯留なしにすることにより、腰痛、ヘルニア、液漏れ、胸水等、 腹圧による合併症の改善。また、接続回数が減らせることにより、腹膜炎の発生減少が期待できる。