監修:岡山済生会総合病院 内科・腎臓病センター 丸山 啓輔 先生
8.腹膜透析の診療では、基幹病院とかかりつけ医との連携が重要
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国民皆保険:国民全員を公的医療保険で保障
(健康保険、共済組合、船員保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)
保険医療機関及び保健医療養担当規則
① 診察
② 薬剤・治療材料の支給
③ 処置・手術・その他の治療
④ 入院と看護
⑤ 在宅医療と看護
例えば差額ベッド料金は保険診療の範囲ではない
→ 全額自己負担
上記の療養について、その対価として医療機関に支払われる費用(全国一律の公定価格)
→ 診療報酬
(一部は自己負担分として患者が医療機関に支払う残りは医療保険者が医療機関に支払う)
診療報酬とは、患者が保険証を示して、医療機関が健康保険で行う医療に対する対価として、全国一律に受け取る報酬である。医師の収入ではなく、人件費・医薬品・医療材料の購入費や施設や設備の維持管理費が診療報酬の中から賄われる。
医師の診察や手術などの技術料と、診察に伴い必要となる薬剤や治療材料などの価格である薬価等に大別される。
医療の質を上げるための創意工夫や新たな技術や薬剤などが開発・導入されており、保険診療の範囲や費用構造を絶えず見直す必要があるため、診療報酬の改定は2年毎に実施されている。
診療報酬の点数は、公定価格として1つひとつの医療行為ごとに決められている(診療報酬点数表)。
医療行為に対する価格は、医療行為ごとに決められた点数を基に「1点=10円」として計算される(例えば、初診料288点だと2,880円になる)。
この医療行為ごとの点数「1点=10円」という金額は、全国一律である。
※介護保険のサービス利用料は、人件費を反映して都市部が高い料金となっており、東京23区内は通常料金の20%増し
わが国は高齢人口の急速な増加の中で、今後の医療・福祉を適切に提供するため、地域包括ケアシステムの推進に力が入れられている。
透析患者も導入平均年齢・全体の平均年齢ともに高齢化の傾向が続いており、今後の透析医療においても地域包括ケアシステムが前提となる。
このような状況の中で、腹膜透析療法は、地域包括ケアシステムとしての在宅医療や地域連携の推進、加えて適切な腎代替療法の推進など、国が進める方針に合致しており、その診療報酬は評価される方向となっている。
血液透析における診療報酬である人工腎臓処置料は、実質的に改定ごとに確実に低下しているのに対して、腹膜透析では最近でも導入期加算・在宅自己腹膜灌流指導管理料の増額、地域包括ケア病棟等での特定保険医療材料・透析液費用の算定、腎代替療法指導管理料の新設、血液透析併用療法での血液透析施行施設での人工腎臓処置料の算定、そして2022年の改定では、有床診療所での慢性維持透析管理加算の新設、遠隔モニタリング加算の新設など、診療報酬の増額の傾向が続き、以前と比べて腹膜透析を行いやすい環境が整いつつある。
・人工腎臓処置料は実質的に改定ごとに確実に低下し、慢性維持透析患者外来管理料も引き下げの傾向が続いている。
・各種加算により、質の高い透析は評価されている。
・適切な腎代替療法の情報提供が評価されている。
回数/月 | 2000年 | 2002年 | 2004年 | 2006年 | 2008年 | 2010年 | 2012年 | 2014年 | 2016年 | 2018年 | 2020年 | 2022年 | ||
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人工 腎臓 |
4時間未満 | 13 | 1,633 | ↓1,960 | ●2,250 | ↓2,117 | ↓2,075 | ↓2,040 | ↓2,030 | ↓2,010 | ↓1:1,985、2:1,940、3:1,900 | ↓1:1,924、2:1,884、3:1,844 | ↓1:1,885、2:1,845、3:1,805 | |
★↓1:1,798、2:1,758、3:1,718 | ||||||||||||||
4~5時間 | 2,110 | 2,267 | ↓2,235 | ↓2,205 | ↓2,195 | ↓2,175 | ↓1:2,140、2:2,100、3:2,055 | ↓1:2,084、2:2,044、3:1,999 | ↓1:2,045、2:2,005、3:1,960 | |||||
★↓1:1,958、2:1,918、3:1,873 | ||||||||||||||
5時間以上 | 2,210 | ↑2,397 | ↓2,370 | ↓2,340 | ↓2,330 | ↓2,310 | ↓1:2,275、2:2,230、3:2,185 | ↓1:2,219、2:2,174、3:2,129 | ↓1:2,180、2:2,135、3:2,090 | |||||
★↓1:2,093、2:2,048、3:2,003 | ||||||||||||||
6時間以上加算 | ↑150 | → | → | |||||||||||
慢性維持透析 濾過 |
↑2,255 | ↓2,245 | ↓2,225 | |||||||||||
慢性維持透析 濾過加算 |
↓50 | → | → | |||||||||||
夜間・休日加算 | 500 | → | → | → | ↓300 | → | → | → | → | ↑380 | ||||
導入期加算 | 300 | → | → | → | → | → | → | → | → | 1:300、↑2:400 | ↓1:200、↑2:500 | 1:200、↓2:400、↑3:800 | ||
障害者加算 | 120 | → | → | → | → | → | → | → | → | ↑140 | → | → | ||
透析液水質 確保加算 |
↑10 | ↓イ:8 | → | → | ↓10 | → | → | |||||||
↑ロ:20 | ||||||||||||||
下肢末梢動脈 疾患指導管理加算 |
1 | ↑100 | → | → | → | |||||||||
透析時運動 指導等加算 |
13 | ↑75 | ||||||||||||
内シャント設置術 | 10,700 | → | → | → | → | ↑13,910 | ↑18,080 | → | → | → | ↓12,080 | → | ||
↓静脈転位:15,300 | ||||||||||||||
経皮的シャント 拡張術・血栓除去術 |
↑18,080 | → | → | → | ↓12,000 | → | ||||||||
↑2回目:12,000 | ||||||||||||||
慢性維持透析患者 外来管理料 |
1 | 2,800 | ↓2,670 | ↓2,460 | ↓2,305 | → | → | → | ↓2,250 | → | → | → | ↓2,211 | |
腎代替療法 実績加算 |
↑100 | → | → |
●:ESAの包括化、★:HIF-PH阻害剤を院外処方とした場合
・在宅自己腹膜灌流指導管理料の増額、導入期加算の増額、地域包括ケア病棟等での特定保険医療材料・透析液費用の算定、血液透析併用療法での血液透析施行施設での人工腎臓処置料の算定など、診療報酬の増額の傾向が続いている。
・地域包括ケアシステムとしての在宅医療や地域連携の推進、加えて適切な腎代替療法の推進など、国が進める方針に合致しており、腹膜透析の診療報酬は評価される方向となっている。
回数/月 | 2000年 | 2002年 | 2004年 | 2006年 | 2008年 | 2010年 | 2012年 | 2014年 | 2016年 | 2018年 | 2020年 | 2022年 | ||
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在宅自己腹膜 灌流指導管理料 |
1 | 3,800 | → | → | → | → | → | ↑4,000 | → | → | → | → | → | |
頻回加算 | 0~2 | 1,900 | ↑2,000 | → | → | → | → | → | → | → | ||||
紫外線 殺菌器加算 |
1 | 400 | ↓360 | → | → | → | → | → | → | → | → | → | → | |
自動腹膜 灌流装置加算 |
2,700 | ↓2,500 | → | → | → | → | → | → | → | → | → | → | ||
遠隔モニタリング 加算 |
↑115 | |||||||||||||
連続携行式 腹膜灌流 |
0 | 330 | → | → | → | → | → | → | → | → | → | → | → | |
導入期加算 | 14 | 100 | → | → | → | → | ↑500 | → | → | → | → | → | → | |
乳幼児加算 | 1~14 | ↑1,000 | ↑1,100 | → | → | → | ||||||||
15~30 | ↑500 | ↑550 | → | → | → | |||||||||
カテーテル 留置加算 |
1,300 | → | → | |||||||||||
カテーテル 留置術 |
↑12,000 | → | → | → | → | → | → | → | → |
基幹病院とかかりつけ医・訪問看護ステーションで、それぞれ算定可能な診療報酬を理解することが、腹膜透析の地域連携を深め、患者や家族の安心に繋がっていく。
基幹病院の診療報酬 | かかりつけ医の診療報酬 | 訪問看護ステーションの診療報酬 | |
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導入前(療法選択時) |
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入院早期 |
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手術時 |
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導入以降 |
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試験外泊 |
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家庭訪問 |
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退院準備 |
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退院日 |
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定期外来受診 |
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訪問診療 |
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訪問看護 |
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療養病棟への入院 有床診療所への入院 |
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※2022年度新設
※腹膜透析に関わる診療報酬
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1.腹膜透析施⾏における医療‧福祉制度
腹膜透析の患者が受けることのできる医療‧福祉制度について、基本から解説した資料です。
2.介護保険の概要
介護保険について、どういうものかをわかりやすく解説した資料です。
3.訪問看護の概要
在宅での治療のサポートを⾏う上で⼤切になるのが訪問看護です。
利⽤に必要な基本情報を解説した資料です。
4.腹膜透析施⾏における診療報酬
腹膜透析にかかわる診療報酬の項⽬を解説した資料です。
5.2022年度診療報酬改定での透析領域の主な変更点
診療報酬改定によって注⽬される部分について詳細を解説した資料です。